ワーグナー編もこれで最終です。ご安心ください(笑)。僕も仕事で大型イベントをやって来たので、今回の「指環」も裏方とか予算とか、ロジとかが気になってしょうがないんですが、これは偉業と言っていいでしょうね。
「びわ湖リング」のシリーズの3年目、「ジークフリート」は成功裡に終わったが、僕の体の中ではまだ感動の余熱がくすぶっている。ひょっとしてワーグナーの毒菌に感染したのか。年齢のこともあるので、もう高熱で発症なんてことにならないようにお願いしたいものだが・・。それでも来年3月の第4話「神々の黄昏」を今から絶対行くぞ、などと決めているところからすると、相当ヤバそうだ。
さて、僕が聞いたのは初日だったが、日本人も含めた歌手群は素晴らしい出来栄えで満足のいくものだった。舞台美術も紗幕にプロジェクション・マッピングを施し、舞台装置と映像が精妙に融和していた。
この4年にわたるシリーズはびわ湖ホールの独自興行だと聞く。大変な難事業だろうと思う。人を組織し、お金を集め、あらゆるロジスティクスを公演日に合わせて遅滞なく進めなければならない。来春4話が完成した暁には、文化の偉業として大いに顕彰されるべきだろう。また同ホールの行う柔軟で大胆なプログラム選択や人材育成、顧客創造の手法も、今後とも敬意を持って注視していきたい。
僕のワグナー論も来年の公演が終わってから、ワーグナーの台本と物語の流浪について書くことにしよう。右上の写真は、公演翌朝のワーク・ショップの模様。オケ・ピットの上の舞台にいるのは観客(これにて了)。
岩佐倫太郎 美術評論家
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