興福寺中金堂再建記念特別展   運慶  東京国立博物館③

岩佐倫太郎 美術評論家

興福寺中金堂再建記念特別展   運慶  東京国立博物館②

左;国宝《無著菩薩立像》 右;国宝《世親菩薩立像》 奈良・興福寺蔵 写真はともに六田知弘 素晴らしさの一端は、誰しも思うこの2体のリアルさ加減だろう。あたかも今の時代に生きている人物のようだ。それは目に水晶を使った「玉眼」(ぎょくがん)の効果も…

興福寺中金堂再建記念特別展   運慶  東京国立博物館①

岩佐倫太郎 美術評論家 会期は2017年11月26日まで 写真は高野山霊宝館

北斎の江戸日本橋とセザンヌの林檎は同じ絵だ;講義録その②

マティスもピカソも多くを北斎に負っている。北斎が分かれば近代絵画は分る。 朝日カルチャーセンターでの公開講座。10月14日。講義の後半は浮世絵が 印象派を生んだという話をさせて頂いた。初めての人にとっては奇異に感じる かもしれない。いったい、浮世…

北斎展にちなむ、朝日カルチャーセンター公開講座の講義録

北斎は波や滝など「水」を通じて地球の精妙と永遠に迫った、江戸最大の天才浮世絵師だ。 開催中のあべのハルカス美術館「北斎―富士を超えてー」。一昨日、小生も それにちなんだ公開講座を兵庫の川西の朝日カルチャーセンターで開催させ てもらった。おかげ…

【ジャポニスム遺聞~印象派画家を助けたタンギー爺さんと林忠正】   

去る7月8日、京都大学の時計台で行った森耕治先生とのリレー対談の要旨は、 一言でいえば日本の浮世絵がジャポニスムを生み、印象派の発生を促した、と言 うことだ。その事実を北斎などの浮世絵とモネ、セザンヌなどの絵で実証しつつ交 互に語らせて頂いた。…

岩佐倫太郎ニューズレター【京都大学時計台講演~浮世絵と印象派~ジャポニスム◆WEB講座①】No173.1706

ジャポニスムは、始め異国趣味として受け入れられるが、次第に技法と思想でヨーロッパ人を圧倒する。 ■■【京都大学時計台講演~浮世絵と印象派~ジャポニスム◆WEB講座①】■■ フランスにおけるジャポニスムの始まりについては、面白いエピソードがある。パ…

【アレクサンダー大王の東方遠征が、ヘレニズムを生んだ】 NO.172ー1705

アレクサンダー大王は、ギリシャ美で世界を征服した。21世紀の我々も、まだその虜囚である。 □■□【ギリシャ・シリーズ最終回。アレクサンダー大王の東方遠征が、ヘレニズムを生んだ 】■□■ 講演会などを多忙の口実に、しばらくギリシャ美術について書くのを怠…

京都大学◆時計台講演~浮世絵と印象派~ジャポニスムのご案内

まずはこの2つの絵を見比べて頂きましょう。共通するものは何か?確かに「ヌード」ではある。それ以外には?実はこの2点の絵、どちらも同じ1863年に描かれたものなのです。左はカバネルと言う画家の《ヴィーナスの誕生》。皇帝、ナポレオン3世のお買い上げの…

岩佐倫太郎+森耕治 美術リレー対談@京都大学(毎日新聞社後援)ジャポニスムとは何か~「印象派と浮世絵」

岩佐倫太郎+森耕治■美術リレー対談@京都大学■(毎日新聞社後援 牧野出版協賛) 気鋭の美術評論家、美術史家が対話形式で語る、日本と西洋美術の驚くべき交流史。グローバルに仕事をする日本人のための講座です。日本の浮世絵(春画を含む)が西洋の近代美術…

古代オリンピックがギリシャ美を生んだ、と僕は主張してますが、ご納得いただけるだろうか。

■□■特別展【古代ギリシャー時空を超えた旅ー】(神戸市立博物館) その⑥■□■ ギリシャ美を語ってもう6回目。おまけにプラトン哲学まで引っ張り出したものだから、 読者諸賢からは「ちょっとしつっこいんじゃないの!」と閉口されているかもしれない。 僕も早…

岩佐倫太郎ニューズレター【NHK文化センター特別講義(4月16日)のごあんない】

この春、関西でいち番の美術展は、コレ!開館120周年を迎える京都国立博物館の龍が目玉だ。 ■□■ 【海北友松展にちなんで~龍で読み解く東西美術史~】 □■□ この春、関西の美術ファンに注目して頂きたい企画展は、京都国立博物館で開催される「海北友松」 (…

ギリシャ美を生み出したのは、プラトン哲学と古代オリンピックだったと僕が断定したその訳は?

特別展【古代ギリシャー時空を超えた旅ー】(神戸市立博物館) その⑤ ■ 我々の美意識の源流は、一体どこまで遡ればいいのか?まさか、優に1億年以上も昔のアルタミ ラの洞窟画ではないだろう。旧石器時代のことだもの。我々との連続性は感じることはまず無い…

ギリシャの美はどのように生成し変遷したのか、3千年にわたる時のドラマを俯瞰しつつ旅しよう。

特別展【古代ギリシャー時空を超えた旅ー】(神戸市立博物館) その④ ■ 現代に生きる我々はいまだに美意識においては、ギリシャ美の虜囚である。完璧すぎる立体感、 これ以上の理想は見出せそうに思えない有無を言わさぬプロポーション。時として解剖的なま…

この古代ギリシャの青年像は神殿に奉納されていたが、さて、彫刻としてはどう見ればいいのか?

特別展【古代ギリシャー時空を超えた旅ー】(神戸市立博物館) その③ ■ この大理石に刻まれた高さ160センチの青年像は、ギリシャのアポロン神域から発掘された。日 本でも神社にお札を納めると言った風習があるが、紀元前の古代ギリシャ人は神殿に、美しい …

ギリシャ美って結局、ミロのヴィーナスのことでしょ、と言うのは間違いではないが、源流はこれ?

■特別展【古代ギリシャー時空を超えた旅ー】(神戸市立博物館) その② ■ 我々はいまだにギリシャの美意識に支配されている。たとえば、8頭身美人。こんなプロポーショ ンの規範もギリシャ人が作ったものだ。おかげで東洋の我々はいささか迷惑しているのだけ…

今も美の世界ではギリシャ美が不動の基準だ。一体それはどのように生まれ、なぜそうなったのか。

特別展【古代ギリシャー時空を超えた旅ー】(神戸市立博物館)にちなんで 現在のギリシャ政府は財政破綻の危機に瀕し、債務の減免を求めざるを得ない誠にはかばかしくない経済状況ではある。しかしながら、美の世界においては、ギリシャは世界を制覇し、2千5…

ジャポニスムとは何か、どのように始まったのか、浮世絵はどう影響したのか、最終回。4-4

ではマネが多大な影響を受けるほどに、直接、大量に春画を見ていたのか。本人がそのようなメモや日記を残したわけでも ないし、彼の死後、遺品から大量の春画が見つかったというような記録もありません。しかし、ブラックモンに教えられた北斎 漫画をきっか…

ジャポニスムとは何か、どのように始まったのか、浮世絵はどう影響したのか、講演録。4-3

さあ、それでは今日僕が一番話したかった、話の肝に移ります。それは春画であります。春画は浮世絵の一部で、春画を描 かない絵師はいません。わずかに写楽の春画が見つかっていないくらいです。卓抜な風景画家の広重だって描いています。 歌麿 線描のうまさ…

ジャポニスムとは何か、どのように始まったのか、浮世絵はどう影響したのか、講演録。4-2

いま、森先生から、ヨーロッパが受け止めたジャポニスムの衝撃と言うものをご説明頂きました。それでは文人も画家もこぞ って、まるで流行病のようにジャポニスムの軍門に下った真の原因はなんであったか、技術と思想の面から順にご説明させ て頂きます。 ま…

ジャポニスムとは何か、どのように始まったのか、浮世絵はどう影響したのか、講演録。

(2016年9月1日 梅田グランフロントのナレッジサロンで会員に講演4-①) 皆さんこんばんは。美術評論家の岩佐倫太郎です。今日は遅い時間帯にお集まりいただき誠にありがとうございます。 僕はこのナレッジサロンで美術のことをしゃべらせていただくのは3回…

「モネとルノワール」~印象派を10倍楽しく見る秘伝~ ■NHK文化センター特別講座予告

7月2日(土)にNHK文化センターの西宮ガーデンズ校で、特別講座を担当します。 13時30分から3時まで。テーマは 「モネとルノワール」~印象派を10倍楽しく見る秘伝~ モネの構図は浮世絵を踏襲しています。印象派の画家たちはモネもゴッホも浮世絵に熱 狂…

カラヴァッジョさん、あなたの死の瞬間に起きた出来事を話して下さい。

「その二つの絵、つまりパウロやロレートの聖母の話を聞くと、カラヴァッジョさん、 あなたは聖書の場面からイメージの引き出し方が鮮やかですね。とくに幻視の 場面を偏愛してませんか」 「たまにはマシな事もしゃべるんだな。俺の若い頃からの愛読書を知っ…

カラヴァッジョさん、あなたは死の最期の瞬間、何を考えたのか?

■【日伊国交流樹立150周年記念 カラヴァッジョ展】その④国立西洋美術館■ 「カラヴァッジョさん、さっきの話に戻しますけど、あなたの劇的なまでの明暗法を 継いだのがベラスケス、そのベラスケスをマネが学んだ。なのであなたの最後の 弟子がマネ。そこまで…

カラヴァッジョさん、ミケランジェロについてはどう思っているんですか。

【日伊国交流樹立150周年記念 カラヴァッジョ展】その③国立西洋美術館■ 「ところでカラヴァッジョさんにとって、ミケランジェロとは?」 「またしても出来合いの質問だな。アンチョコすぎないか、紋切りで」 「はい、すみません」 「俺と同名のミケランジェ…

第2回 カラヴァッジョとの対話;あなたはルネサンスのどこを新しくしたのか?

■【日伊国交流樹立150周年記念 カラヴァッジョ展その②】国立西洋美術館■ (前回より続く)僕の横に、男がドスンと座り、肩をぶつけて来た。失礼な奴だな! そう思って横目でにらんだら、男は黒いあごひげをはやし、上半身の胸郭が厚い。 日本人じゃないな、…

カラヴァッジョとの対話;あなたは一体、ルネサンスのどこを新しくしたのか?

■【日伊国交流樹立150周年記念 カラヴァッジョ展その①】国立西洋美術館■ 東京の国立西洋美術館。モネをはじめとする印象派絵画の聖地としても知られるが、今回は カラヴァッジョの企画展を見たくて、伊丹から朝早い飛行機でやって来ました。緑が眩しい上野 …

屏風絵の見方にはちょっとしたコツがある。それが分かると急に楽しくなるはずだ。

【生誕180年記念 富岡鉄斎―近代への架け橋―展その②】兵庫県立美術館 鉄斎など大型の屏風絵には鑑賞の仕方にちょっとしたコツがあって、西洋画のように俯瞰で対峙して全体の意味を考え、大きい幹から順に細部に分け入って見るといったやり方は適切ではありま…

鉄斎は現実と空想を往還しながら、まったく新しい理想郷(仙境図)を作り上げた。

■生誕180年記念 富岡鉄斎―近代への架け橋―展】兵庫県立美術館■ その① 神戸市の兵庫県立美術館では、宝塚の清荒神にある鉄斎美術館のコレクションを中心に、各地の国公立美術館や宮内庁からも作品を集めて、最後の文人画家で巨匠と言われる富岡鉄斎(1836…

エル・グレコ《受胎告知》の美しさは、ミロのヴィーナスと同じ究極のギリシャの美だ。

■【はじまり、美の饗宴展 -すばらしき大原美術館 コレクションー国立新美術館】■ 大原美術館は岡山県倉敷市の大実業家、大原孫三郎が同郷の画家、児島虎次郎を支援しな がらコレクションを進め、1930年に設立した西洋絵画の美術館です。美術鑑賞の目を養う…