【ワーグナー/ニーベルングの指環@びわ湖ホール その①】

オペラの音楽は、京都市交響楽団と指揮の沼尻竜典(りゅうすけ)。両者は息も良く合って、腕も確か。僕はどちらも初めてだったけれど、大変好意を持った。

 

ワーグナー/ニーベルングの指環びわ湖ホール その①】
びわ湖リング」も今年で3年目。ハイライトともいうべき、第3話「ジークフリート」の観覧が32日、ようやく叶った。2時に始まり、途中、休憩が2回あるものの、全部が終わったのは夜の7時半!長丁場ではあったが、それも気にならない素晴らしい出来栄えだった。オーケストラは京都市交響楽団、指揮は同ホールの芸術監督を務める沼尻竜典。オケはもう沼尻の手兵と化しているのか、よく息が合って時に楽し気に、舞台と歌手をサポートしているようだ。f:id:iwasarintaro:20190314212950j:plain物語りは、中世ドイツの叙事詩の英雄「ジークフリート」が主人公。孤児ではあるが、父の形見の宝剣「ノートゥング」を鍛えなおし、森の大蛇を倒し、小鳥に導かれて、炎に包まれて眠る美女を目覚めさせ、2人は結ばれる。なにか聞いたような、おとぎ話的な展開だが、あれ!これって「眠れる森の美女」とかと似てないか。そうなんです。「指輪」の台本も書いたワグナーは、童話のグリム兄弟などからもアイデアを取り入れている。

僕のワーグナーの「指環」のイメージは、映画「地獄の黙示録」に使われた「ワルキューレの騎行」などと重なって、勇壮でまがまがしいまでに暴力性を持ったものだった。それがこの第3話では見事に裏切られて、この日は子供向けのファンタジー・オペラを見ているような気にさせられたものだ。右上の内装写真は翌日のワークショップに参加して、撮影出来たもの。オケピットと指揮者の譜面台も写っています(つづく)。

岩佐倫太郎 美術評論家