この春、関西でいち番の美術展は、コレ!開館120周年を迎える京都国立博物館の龍が目玉だ。
■□■ 【海北友松展にちなんで~龍で読み解く東西美術史~】 □■□
この春、関西の美術ファンに注目して頂きたい企画展は、京都国立博物館で開催される「海北友松」
(かいほう ゆうしょう)展でしょう。友松は「龍」を描かせれば桃山画壇随一。狩野永徳や長谷川
等伯と並ぶ実力絵師でした。戦国を生き抜いた武家の出身でしたが、それゆえか元は建仁寺のふすま
に描いたこの龍も、吹っ切れがよく、飄逸味がたっぷり。まさに京都最古の禅寺にふさわしい画格かと。
実は数年前から、建仁寺の座禅会に楽しみで時々通っていて、座禅する僕の眼前に広が
るこのダイナミックな龍(高精細なレプリカ、本物は京都国立博物館に寄託)にすっか
り魅入られてしまいました。想像上の怪獣がこんなに人に親しい存在なのも不思議です。
去年に続くNHKでの特別講義ですが、今回はこの展覧会にちなんで、友松の絵をどう
見ればいいのか、どこが凄いのかなど、見どころをズバリ伝授したいと思います。
《聖ゲオルギウスと龍》ラファエロ 1504-06 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
また、ルネサンスの巨匠ラファエロらの西洋の龍の絵となどと友松の龍を比較してみると、西洋の龍
(ドラゴン)はたいてい無惨にも征伐される対象なのがよく判る。一体この違いは何ゆえか。疑問を
解いていくうちに、大げさに言えば、僕は龍を通じて東西文化の成り立ちの根本に突き当たりました。
先に見てから聞くか、聞いてから見るか。一挙に世界が広がり、美術が面白くて止められない―――
そんな講義にしたいと思っています。ご参加をお待ちしています。
■講演会の詳細とお申し込みは
電話0798-69-3450 または
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1119201.html
岩佐 倫太郎 美術評論家 美術ソムリエ
京都国立博物館開館120周年記念特別展覧会「海北友松」会期:4月11日(火)~5月21日(日)