2017-01-01から1年間の記事一覧
岩佐倫太郎 美術評論家
左;国宝《無著菩薩立像》 右;国宝《世親菩薩立像》 奈良・興福寺蔵 写真はともに六田知弘 素晴らしさの一端は、誰しも思うこの2体のリアルさ加減だろう。あたかも今の時代に生きている人物のようだ。それは目に水晶を使った「玉眼」(ぎょくがん)の効果も…
岩佐倫太郎 美術評論家 会期は2017年11月26日まで 写真は高野山霊宝館
マティスもピカソも多くを北斎に負っている。北斎が分かれば近代絵画は分る。 朝日カルチャーセンターでの公開講座。10月14日。講義の後半は浮世絵が 印象派を生んだという話をさせて頂いた。初めての人にとっては奇異に感じる かもしれない。いったい、浮世…
北斎は波や滝など「水」を通じて地球の精妙と永遠に迫った、江戸最大の天才浮世絵師だ。 開催中のあべのハルカス美術館「北斎―富士を超えてー」。一昨日、小生も それにちなんだ公開講座を兵庫の川西の朝日カルチャーセンターで開催させ てもらった。おかげ…
去る7月8日、京都大学の時計台で行った森耕治先生とのリレー対談の要旨は、 一言でいえば日本の浮世絵がジャポニスムを生み、印象派の発生を促した、と言 うことだ。その事実を北斎などの浮世絵とモネ、セザンヌなどの絵で実証しつつ交 互に語らせて頂いた。…
ジャポニスムは、始め異国趣味として受け入れられるが、次第に技法と思想でヨーロッパ人を圧倒する。 ■■【京都大学時計台講演~浮世絵と印象派~ジャポニスム◆WEB講座①】■■ フランスにおけるジャポニスムの始まりについては、面白いエピソードがある。パ…
アレクサンダー大王は、ギリシャ美で世界を征服した。21世紀の我々も、まだその虜囚である。 □■□【ギリシャ・シリーズ最終回。アレクサンダー大王の東方遠征が、ヘレニズムを生んだ 】■□■ 講演会などを多忙の口実に、しばらくギリシャ美術について書くのを怠…
まずはこの2つの絵を見比べて頂きましょう。共通するものは何か?確かに「ヌード」ではある。それ以外には?実はこの2点の絵、どちらも同じ1863年に描かれたものなのです。左はカバネルと言う画家の《ヴィーナスの誕生》。皇帝、ナポレオン3世のお買い上げの…
岩佐倫太郎+森耕治■美術リレー対談@京都大学■(毎日新聞社後援 牧野出版協賛) 気鋭の美術評論家、美術史家が対話形式で語る、日本と西洋美術の驚くべき交流史。グローバルに仕事をする日本人のための講座です。日本の浮世絵(春画を含む)が西洋の近代美術…
■□■特別展【古代ギリシャー時空を超えた旅ー】(神戸市立博物館) その⑥■□■ ギリシャ美を語ってもう6回目。おまけにプラトン哲学まで引っ張り出したものだから、 読者諸賢からは「ちょっとしつっこいんじゃないの!」と閉口されているかもしれない。 僕も早…
この春、関西でいち番の美術展は、コレ!開館120周年を迎える京都国立博物館の龍が目玉だ。 ■□■ 【海北友松展にちなんで~龍で読み解く東西美術史~】 □■□ この春、関西の美術ファンに注目して頂きたい企画展は、京都国立博物館で開催される「海北友松」 (…
特別展【古代ギリシャー時空を超えた旅ー】(神戸市立博物館) その⑤ ■ 我々の美意識の源流は、一体どこまで遡ればいいのか?まさか、優に1億年以上も昔のアルタミ ラの洞窟画ではないだろう。旧石器時代のことだもの。我々との連続性は感じることはまず無い…
特別展【古代ギリシャー時空を超えた旅ー】(神戸市立博物館) その④ ■ 現代に生きる我々はいまだに美意識においては、ギリシャ美の虜囚である。完璧すぎる立体感、 これ以上の理想は見出せそうに思えない有無を言わさぬプロポーション。時として解剖的なま…
特別展【古代ギリシャー時空を超えた旅ー】(神戸市立博物館) その③ ■ この大理石に刻まれた高さ160センチの青年像は、ギリシャのアポロン神域から発掘された。日 本でも神社にお札を納めると言った風習があるが、紀元前の古代ギリシャ人は神殿に、美しい …
■特別展【古代ギリシャー時空を超えた旅ー】(神戸市立博物館) その② ■ 我々はいまだにギリシャの美意識に支配されている。たとえば、8頭身美人。こんなプロポーショ ンの規範もギリシャ人が作ったものだ。おかげで東洋の我々はいささか迷惑しているのだけ…
特別展【古代ギリシャー時空を超えた旅ー】(神戸市立博物館)にちなんで 現在のギリシャ政府は財政破綻の危機に瀕し、債務の減免を求めざるを得ない誠にはかばかしくない経済状況ではある。しかしながら、美の世界においては、ギリシャは世界を制覇し、2千5…