2014-01-01から1年間の記事一覧

マネは浮世絵に影響を受けた。とりわけ春画との出会いは、衝撃的な事件だったはずです

■□■□■ 【西洋ヌード画の歴史をたどってみた シリーズ 3の③“】 ■□■□■ パリの豊かなブルジョワ家庭に生まれたマネは恵まれた環境の中で、ルーブルでの模写やスぺ イン・イタリア旅行を行ない先人たちの技法を吸収していきます。中でもスペインのベラスケスや …

マネはルネサンスの巨匠達をハッキングすることで、絵画の新しい思想を示そうとした。

【西洋ヌード画の歴史をたどってみた シリーズ 3の③’】 ■□■□■ 「オランピア」は「草上の昼食」と並んで、マネの代表作あるばかりでなく、パリのオルセー美術館 が誇る傑作です。ナポレオン3世による第二帝政と呼ばれる時代、パリにも産業革命の波が 押し寄…

マネは静かにルネサンスを扼殺し、近代絵画の道を示した、美術史の分水嶺に立つ巨人。

■□■□■ 【西洋ヌード画の歴史をたどってみた シリーズ 3の③】 ■□■□■ まずは下の画像をご覧いただきましょう。ご存知、近代絵画の父とも言えるマネの「草上の昼食」。 パリのオルセー美術館が所蔵する傑作です。鑑賞者はウッカリすると、平和な白昼のピクニッ…

ヌード画ってありふれてるよねえ、と今は呑気に言えますが市民権を得るまでに四苦八苦。

■□■□■ 【西洋ヌード画の歴史をたどってみた シリーズ 3の②】 ■□■□■ スペインの宮廷画家として、フェリペ4世の庇護のもと、王族の肖像など傑作を生涯ものしてきた べラスケスですが、ヌード画で現存している絵は下の画像だけ。「鏡の前のヴィーナス」。バロ…

ボッティチェルリからピカソまで。ルネサンスに始まるヌード史を見れば、美術史が分かる。

□■□■ 【西洋ヌード画の歴史をたどってみた シリーズ 3の①】 ■□■□■ ルネサンスの名画を訪ねて、ローマ、フィレンツェと美術の旅をしているうちに、僕のなかでヌード 画への興味が俄然、頭をもたげてきました。これって、いわゆる「萌え」ともいうべき現象で…

ゴージャスで高慢そうな彼女(=伊万里)だが、身の上を知ると愛さずにいられない。

ゴージャスで高慢そうな彼女(=伊万里)だが、身の上を知ると愛さずにいられない。 ■□【大阪市立東洋陶磁美術館 伊万里――ヨーロッパの宮殿を飾った日本磁器】□■ 伊万里は日本で最初の磁器であり、その誕生は1610年代であるとされています。関ヶ原 の戦いから1…

ルネサンスとは何か?その答はウフィッツィの至宝、ボッティチェルリのヌード画にあった。

■□■□■ 【ウフィッツィ美術館で、ルネサンスの名宝を見て歩く⑥】 ■□■□■ 前回の「ヴィーナスの誕生」で「ボッティチェルリはヌード画の開祖である」、と僕は断じました。古代は別として、肉体に否定的な中世キリスト教社会では、婦人のヌード像はご法度の時代…

盛期ルネサンス極めつけの一点。「ヴィーナスの誕生」は、スキャンダラスなまでに衝撃的。

わがウフィッツィ美術館めぐりも、ようやくにして名画中の名画、ボッティチェルリの「ヴィーナス の誕生」にたどり着きました。あまりに教科書的なこの絵、いったいどこがいいのか。印刷物 やネットだけでは判らないのですが、まず、オッと驚くほどデカいん…

ボッティチェルリ、ミケランジェロ、ラファエロ。巨匠たちのトンド(=円形画)の競演を見た。

■□■□■ 【ウフィッツィ美術館で、ルネサンスの名宝を見て歩く⑤】 ■□■□■ トンドと言う絵の形態をご存じだろうか。トンドとはイタリア語で「丸い」と言う意味らしいですが 文字通り円形画。まるでカーブミラーのように、広角で凝縮された世界が描かれることが多…

イタリアの宝石は絵画だけじゃない。このトスカナ料理とワインの素晴らしさも至福なり。

■□■□■ 【閑話休題───イタリアのワインと料理に夜は更けて】 ■□■□■ ローマから列車でフィレンツェに入ったその日のことです。街がこじんまりして見どころも多い ので、思わず距離を歩いてしまいました。おまけに石畳のデコボコ具合も半端じゃない。さす がに…

ルネサンスの破戒僧、フィリッポ・リッピ。行状とは裏腹に、その絵は深遠かつ神妙なり。

■□■□■ 【ウフィッツィ美術館で、ルネサンスの名宝を見て歩く④】 ■□■□■ ひょっとしたら僕はウフィッツィの絵のなかでこの作品がいちばん好きかもしれない。画家フィリッポ・リッピ(1406~1469)は修道僧ながら、どうやら恋多き男らしく、大変な艶福家。この…

この童画的な幻想性を愛さずにいられない。ウッチェロは本当にルネサンスの人なのか?

■□■□■ 【ウフィッツィ美術館で、ルネサンスの名宝を見て歩く③】 ■□■□■ パオロ・ウッチェロ (1397-1475).。ルネサンス前期の画家。下の図の「サン・ロマーノの戦い」はフィレンツェ軍とシエナ軍の都市間戦争の模様を描いた大作で、惨劇を描いているはずなのに…

ヴァチカンのミケランジェロの大傑作、「最後の審判」を鳴門で見た。

【大塚国際美術館の陶板による原寸名画の復元は凄い】 かねて念願のイタリア美術旅行に、ようやく出かけることになりました。ローマではヴァチカン、フィ レンツェはウフィツィ美術館を主に、ルネサンスを訪ねる旅です。それで最近時々通っているのが 鳴門の…

「東方の三博士」は、「受胎告知」や「磔刑図」に並んで、最も親しまれるキリスト教絵画です。

■□■□■ 【ウフィッツィ美術館で、ルネサンスの名宝を見て歩く②】 ■□■□■ ユダヤの王たる者の誕生を知った東方の三博士は、はるばる星に導かれ、贈り物を携えヨセフ一家を訪れ、幼子イエスを礼拝します。新約聖書の「マタイによる福音書」伝えるところの物語。…

「受胎告知」ほど画家をインスパイアして、多くの作品を生んだ主題はないかもしれない。

■□■□■ 【ウフィッツィ美術館で、ルネサンスの名宝を見て歩く①】 ■□■□■ ウフィッツィ美術館まず3階に上がり、ほぼ年代順に絵を見ていく流れです。なのでいちばん おなじみのボッティチェリやダ・ヴィンチなどルネサンス盛期の画家は少し先。ジオットのあとは…

ビザンチンとは何か。ジオットの才能が、ビザンチンの伝統を壊して創ったものとは?

■□■□■ 【ルネサンスの名画を訪ねて、イタリアを旅しました②】 ■□■□■ ビザンチン美術の世界観を感覚的につかんでいただくため、代表例としてエジプトの修道院に 伝わる「聖母子のイコン」を掲げてみます。ずいぶんと平面的で動きがなく、禁欲的で すよねえ。…

ウフィッツィ美術館、最初の部屋でいきなり、ジオットの傑作「聖母子」に対面。

■□■□■ 【ルネサンスの名画を訪ねて、イタリアを旅しました①】 ■□■□■ ルネサンスの名画を訪ねて、ローマからフィレンツェの旅に出かけました。フィレンツェは、花 の大聖堂の名で知られるサンタ・マリア・デル・フィオーレが街のシンボル。ルネサンスの奇跡 …