FACEBOOKが2020年秋より、NOTEの閲覧機能を停止して、本人以外は外から見れません。残念なので、いくつかをHATENAブログに移行させました。
(2011年9月にFACEBOOKのNOTE用に作成・投稿)
去年のことです。フランス人の親子が京都に1泊して仏像を見たいがどこの寺に行ったらいいか、と人づてに尋ねてきました。そのとき僕がためらわず推薦したのは、三十三間堂(蓮華王院)の千手観音と東寺の講堂の立体曼荼羅でした。単体の美しい仏像なら京都でもほかにいろいろあるでしょうが、狂おしいまでインパクトを持った仏像群はこの2つを除いて考えられませんでした。
何しろ三十三間堂は本尊を中心になんと千体の千手観音立像が並ぶ。壮観と言うべきか奇観と呼ぶのか、今ならCGで済ませるんでしょうが何分にもそんな映像技術もない時代、ひたすらに3次元で宗教的極限を愚直に表現して驚異的です。
さて東寺の方ですが、ユネスコの世界遺産に1994年に登録されました。下の写真は寺の資料からスキャンしましたが、講堂の立体曼荼羅のこの大仕掛けな演劇的躍動感をご覧あれ。仏像だからと言って取り澄ましたところはありません。むしろアニメのキャラのように、一人一人が個性に満ちて暴れだしかねない。まあ、これを初めて見た人はフランス人ならずともショックを受け、うなされるのではないでしょうか。
東寺 講堂 立体曼荼羅
大日如来を中心にした五仏と五菩薩、五明王で15体。これに四天王に帝釈天と梵天を加え、21尊が林立する様はまるで幻想のように美しい。
今回、出開帳でお江戸にやってきたのはこのうちの8体。すべて国宝ばかりです。東寺講堂の堂宇の美しさ、特に内陣の美しさを離れてどのように展示されるのか、そのあたりも僕の興味でした。
やはりというか、立体的な観覧デッキを館内に特設して上からと地上からと、いわば1粒で2度おいしい見せ方を提供していました。日光・月光両菩薩の時もそうでしたが、このやり方、悪くありません。
さて、僕なりのこうした仏像の見方ですが、かしこまって、ありがたがろうとするのはご法度です。そんな先入観を持つと、仏像を見るのが窮屈になってしまいます。むしろアニメのフィギュアのように、言ってみれば漫画チックに自由に見ればいいのです。1200年前、極彩色のこれらの密教像はファッショナブルなトレンドの最先端。中国だけでなくインドや遥か西域の物語りなども引き連れ、当時の日本人を驚かせ興奮させたはず。タイムスリップしてここを追体験したいですね。
今展では、「風信帖」など空海の書も見どころ。仁和寺、金剛峯寺、醍醐寺などの所蔵する国宝もそろって、たいへん力感のある展示会です。
http://kukai2011.jp/construction.html
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※空海と密教美術展 東京国立博物館(上野公園)平成館2011年9月25日(日)まで