5層の天守の威容を誇る二条城だが、隠された徳川の政治的意図は何か②

わがニューズレターの読者の皆さんは、「パノプティコン」をご存知だろうか。聞き慣れない言葉かもしれないが、これはイギリスの哲学者、ベンサムが発明したユニークな形の「監獄」のことで、一望監視施設などと訳されます。構造的には囚人の独房がズラリと…

狩野派の美術館とも言える二条城だが、隠された徳川の政治的意図は何か①

ユネスコの世界遺産にも登録される京都・二条城。徳川家康は1600年の関が原の戦い が決着すると、すぐさま築城にかかり、1603年、征夷大将軍の宣下を受けたのと同時に 完成させています。民家数千軒を立ち退かせての新築。よほどこの立地に執心したのだ な、…

琳派創始のパトロンは家康だ。光悦を担いだ権力者の政治意図は何だったのか?

今年が琳派400年に当ることは美術ファンなら、もうご承知のことでしょう。その起点は何かというと、 1615年、本阿弥光悦が京都北郊、鷹が峯の土地を徳川家康から拝領し、芸術村を開いたことにち なみます。なるほど、2015引く1615で400年かと僕も納得し、今…

印象派を生み、その後の西洋美術の流れを作ったのは、「春画」である。信じられますか?

はじめに僕のオク手な春画体験を書いておきましょう。それは約1年前、箱根・小涌谷の岡田美 術館(※1)。そもそも春画というか男女の交合図を常設で見せている美術館なんて、まず例が無 いでしょうが、この館は古今の東洋美術の莫大なコレクションを収納展…

ロンドンの美術の旅で、ターナーこそ印象派の父だと認知するに至りました。

□■□ 【ナショナル・ギャラリーほか】 ターナーと歌麿が印象派を作った 1/2 ■□■ 東京上野の国立西洋美術館は、松方コレクションを母体として戦後まもなく作られ、西洋絵画の 中でもとくに印象派の宝庫として知られています。実際、現地に足を運んでみると、た…

侘び茶の開祖とされる珠光。殿様の茶事とは対極。どこが違うのか、碗は雄弁に語る。

□■東洋陶磁美術館 【黄金時代の茶道具 ―17世紀の唐物 2の②】 □■ 足利将軍家の唐物コレクションである東山御物(ひがしやまごもつ)。残された絵画や茶碗などを眺めているうちに、日本の「床の間」は、言われるような仏壇の発展形などでは無く、東山御物の陳…

利休ばかりが有名だが、茶碗を見ると侘び茶の創始者、珠光の存在の巨大に気づく。

■ 東洋陶磁美術館 【黄金時代の茶道具 ―17世紀の唐物 2の①】 ■ 大阪中之島の東洋陶磁美術館。青磁・白磁などの世界的な優品を所蔵することで知られるが、 今回の「黄金時代の茶道具」も力の入った企画展です。関西でこれだけ、茶道具や茶碗が一 堂に会したこ…

【根津美術館】 尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 ―光琳デザインの秘密―

燕子花(かきつばた)と紅白梅の屏風。いずれも琳派の巨匠、尾形光琳の代表作でかつ、国宝です。 紅白梅図は熱海のMOAで見ている人も多いでしょうが、両者が一堂に会するという、夢のようなマ ッチングが、東京・南青山の根津美術館で実現しました。17日…

建て替え工事のため、5月18日から、休館。思い出の名画名作と別れを惜しんできた。

八重洲通りのブリヂストン美術館。ここがビルの建て替え工事のため、4,5年休館すると聞いて、 東京に向かいました。美術館の所蔵するモネ、ルノワール、セザンヌらの印象派などを中心と した珠玉のような名品の数々が思い出され、もうこのまま数年も会えな…

速水御舟を知るだけでも、日本画の超絶した技巧、高貴な気品、世界の見方が分かる。

【花と鳥の万華鏡 ―春草・御舟の花、栖鳳・松篁の鳥】 東京広尾の山種美術館。恵比寿駅から駒沢通りを歩いて10分。僕は京橋のブリヂストンと並んで, 洋画をこの山種美術館がとても気に入っています。ブリヂストンがモネ、ルノワールなど珠玉のような 所蔵し…

この絵の中に、ベラスケスもレンブラントも、のちのマネも皆、含まれているのが見て取れる。

■□■□■【カラヴァッジオの偉大さを、いまさらながら発見して驚嘆した2/2】 ■□■□■ 「聖マタイの召命」と名づけられたこのカラヴァッジオの絵。ちょうど1600年の作。ミラノで修行した カラヴァッジオがローマで認められ、一躍人気画家になった出世作です。同時…

NHKの朝ドラ、「マッサン」のヌード・ポスターと、このカラヴァッジオは、とても似ていないか?

■□■□■【カラヴァッジオの偉大さを、いまさらながら発見して驚嘆した1/2】 ■□■□■ 毎朝、NHKの「マッサン」を楽しみにしている人は、このニューズレターの読者にも多いでしょうね。 本物のウィスキーを日本で、と意気込んで純な技術志向のマッサン。一方、「…

マネは浮世絵に影響を受けた。とりわけ春画との出会いは、衝撃的な事件だったはずです

■□■□■ 【西洋ヌード画の歴史をたどってみた シリーズ 3の③“】 ■□■□■ パリの豊かなブルジョワ家庭に生まれたマネは恵まれた環境の中で、ルーブルでの模写やスぺ イン・イタリア旅行を行ない先人たちの技法を吸収していきます。中でもスペインのベラスケスや …

マネはルネサンスの巨匠達をハッキングすることで、絵画の新しい思想を示そうとした。

【西洋ヌード画の歴史をたどってみた シリーズ 3の③’】 ■□■□■ 「オランピア」は「草上の昼食」と並んで、マネの代表作あるばかりでなく、パリのオルセー美術館 が誇る傑作です。ナポレオン3世による第二帝政と呼ばれる時代、パリにも産業革命の波が 押し寄…

モネは静かにルネサンスを扼殺し、近代絵画の道を示した、美術史の分水嶺に立つ巨人。

■□■□■ 【西洋ヌード画の歴史をたどってみた シリーズ 3の③】 ■□■□■ まずは下の画像をご覧いただきましょう。ご存知、近代絵画の父とも言えるマネの「草上の昼食」。 パリのオルセー美術館が所蔵する傑作です。鑑賞者はウッカリすると、平和な白昼のピクニッ…

ヌード画ってありふれてるよねえ、と今は呑気に言えますが市民権を得るまでに四苦八苦。

■□■□■ 【西洋ヌード画の歴史をたどってみた シリーズ 3の②】 ■□■□■ スペインの宮廷画家として、フェリペ4世の庇護のもと、王族の肖像など傑作を生涯ものしてきた べラスケスですが、ヌード画で現存している絵は下の画像だけ。「鏡の前のヴィーナス」。バロ…

ボッティチェルリからピカソまで。ルネサンスに始まるヌード史を見れば、美術史が分かる。

□■□■ 【西洋ヌード画の歴史をたどってみた シリーズ 3の①】 ■□■□■ ルネサンスの名画を訪ねて、ローマ、フィレンツェと美術の旅をしているうちに、僕のなかでヌード 画への興味が俄然、頭をもたげてきました。これって、いわゆる「萌え」ともいうべき現象で…

ゴージャスで高慢そうな彼女(=伊万里)だが、身の上を知ると愛さずにいられない。

ゴージャスで高慢そうな彼女(=伊万里)だが、身の上を知ると愛さずにいられない。 ■□【大阪市立東洋陶磁美術館 伊万里――ヨーロッパの宮殿を飾った日本磁器】□■ 伊万里は日本で最初の磁器であり、その誕生は1610年代であるとされています。関ヶ原 の戦いから1…

ルネサンスとは何か?その答はウフィッツィの至宝、ボッティチェルリのヌード画にあった。

■□■□■ 【ウフィッツィ美術館で、ルネサンスの名宝を見て歩く⑥】 ■□■□■ 前回の「ヴィーナスの誕生」で「ボッティチェルリはヌード画の開祖である」、と僕は断じました。古代は別として、肉体に否定的な中世キリスト教社会では、婦人のヌード像はご法度の時代…

盛期ルネサンス極めつけの一点。「ヴィーナスの誕生」は、スキャンダラスなまでに衝撃的。

わがウフィッツィ美術館めぐりも、ようやくにして名画中の名画、ボッティチェルリの「ヴィーナス の誕生」にたどり着きました。あまりに教科書的なこの絵、いったいどこがいいのか。印刷物 やネットだけでは判らないのですが、まず、オッと驚くほどデカいん…

ボッティチェルリ、ミケランジェロ、ラファエロ。巨匠たちのトンド(=円形画)の競演を見た。

■□■□■ 【ウフィッツィ美術館で、ルネサンスの名宝を見て歩く⑤】 ■□■□■ トンドと言う絵の形態をご存じだろうか。トンドとはイタリア語で「丸い」と言う意味らしいですが 文字通り円形画。まるでカーブミラーのように、広角で凝縮された世界が描かれることが多…

イタリアの宝石は絵画だけじゃない。このトスカナ料理とワインの素晴らしさも至福なり。

■□■□■ 【閑話休題───イタリアのワインと料理に夜は更けて】 ■□■□■ ローマから列車でフィレンツェに入ったその日のことです。街がこじんまりして見どころも多い ので、思わず距離を歩いてしまいました。おまけに石畳のデコボコ具合も半端じゃない。さす がに…

ルネサンスの破戒僧、フィリッポ・リッピ。行状とは裏腹に、その絵は深遠かつ神妙なり。

■□■□■ 【ウフィッツィ美術館で、ルネサンスの名宝を見て歩く④】 ■□■□■ ひょっとしたら僕はウフィッツィの絵のなかでこの作品がいちばん好きかもしれない。画家フィリッポ・リッピ(1406~1469)は修道僧ながら、どうやら恋多き男らしく、大変な艶福家。この…

この童画的な幻想性を愛さずにいられない。ウッチェロは本当にルネサンスの人なのか?

■□■□■ 【ウフィッツィ美術館で、ルネサンスの名宝を見て歩く③】 ■□■□■ パオロ・ウッチェロ (1397-1475).。ルネサンス前期の画家。下の図の「サン・ロマーノの戦い」はフィレンツェ軍とシエナ軍の都市間戦争の模様を描いた大作で、惨劇を描いているはずなのに…

ヴァチカンのミケランジェロの大傑作、「最後の審判」を鳴門で見た。

【大塚国際美術館の陶板による原寸名画の復元は凄い】 かねて念願のイタリア美術旅行に、ようやく出かけることになりました。ローマではヴァチカン、フィ レンツェはウフィツィ美術館を主に、ルネサンスを訪ねる旅です。それで最近時々通っているのが 鳴門の…

「東方の三博士」は、「受胎告知」や「磔刑図」に並んで、最も親しまれるキリスト教絵画です。

■□■□■ 【ウフィッツィ美術館で、ルネサンスの名宝を見て歩く②】 ■□■□■ ユダヤの王たる者の誕生を知った東方の三博士は、はるばる星に導かれ、贈り物を携えヨセフ一家を訪れ、幼子イエスを礼拝します。新約聖書の「マタイによる福音書」伝えるところの物語。…

「受胎告知」ほど画家をインスパイアして、多くの作品を生んだ主題はないかもしれない。

■□■□■ 【ウフィッツィ美術館で、ルネサンスの名宝を見て歩く①】 ■□■□■ ウフィッツィ美術館まず3階に上がり、ほぼ年代順に絵を見ていく流れです。なのでいちばん おなじみのボッティチェリやダ・ヴィンチなどルネサンス盛期の画家は少し先。ジオットのあとは…

ビザンチンとは何か。ジオットの才能が、ビザンチンの伝統を壊して創ったものとは?

■□■□■ 【ルネサンスの名画を訪ねて、イタリアを旅しました②】 ■□■□■ ビザンチン美術の世界観を感覚的につかんでいただくため、代表例としてエジプトの修道院に 伝わる「聖母子のイコン」を掲げてみます。ずいぶんと平面的で動きがなく、禁欲的で すよねえ。…

ウフィッツィ美術館、最初の部屋でいきなり、ジオットの傑作「聖母子」に対面。

■□■□■ 【ルネサンスの名画を訪ねて、イタリアを旅しました①】 ■□■□■ ルネサンスの名画を訪ねて、ローマからフィレンツェの旅に出かけました。フィレンツェは、花 の大聖堂の名で知られるサンタ・マリア・デル・フィオーレが街のシンボル。ルネサンスの奇跡 …